佐伯泰英の人気時代小説シリーズ『酔いどれ小籐次』第六巻『騒乱前夜』では、
主人公・赤目小籐次が江戸の裏社会に潜む陰謀に巻き込まれながらも、
その剣術と人情で困難に立ち向っていきます。
小籐次が水戸藩を巡る事件に関与し、探検家・間宮林蔵との交流や、
旧敵の刺客との対決など、多彩なエピソード盛りだくさんです。

◆あらすじ・内容・読みどころ

・江戸での平穏な日々と突如現れる事件
江戸での生活を送っていた小籐次は、ある日、久慈屋の女中・お花がならず者に絡まれている場面に
遭遇します。彼女を助けた小籐次は、彼女の語る騒動の理由が要領を得ないことに不審を抱きます。
やがて、その背後には思いもよらぬ企てが潜んでいることが明らかになります。

・水戸行きと探検家・間宮林蔵の同行
小籐次は、自ら考案した行灯作りを指南するため、水戸への旅に出ることになります。しかし、
同行者の中には、なぜか探検家・間宮林蔵の姿がありました。彼の目的は何なのか、
小籐次は疑念を抱きながらも旅を続けます。

・旅先での新たな刺客と小籐次の奮闘
水戸への道中、小籐次は行く先々で新たな刺客に襲われることになります。
休む暇もなく襲い来る敵に対し、小籐次は持ち前の剣術と機転で立ち向かいます。
その中で、彼は思いがけない人物との出会いや、過去の因縁と向き合うことになります。

・小籐次の人間味
人間味あふれる一面や、彼の成長が描かれています。

◆こんな人におすすめ

人情味あふれる物語が好きな人
→ 町人や浪人、庶民の暮らしがリアルに描かれていて、温かさと切なさが交差する。
特に、派手な事件よりも、人と人との関わり、信頼や誠実さに心を動かされる人にはぴったり。

時代小説が初めて or 苦手な人
→ 読みやすい文章で、古臭さや難しさが少なく、会話もわかりやすい。
登場人物も覚えやすく、ストーリーもすっきりしていて入り込みやすい。

シリーズものの成長ドラマが好きな人
→ 一人の男が人生の再出発をして、少しずつ信頼を得て、人との絆を深めていく展開が魅力。
まるで長編ドラマを見ているような安心感がある。

六巻目ではいよいよ“何かが起きそうな気配”が濃くなってきていて、
シリーズを通じての伏線や人間関係の深まりを楽しみたい人にうってつけ。

◆著者プロフィール

1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。デビュー作『闘牛』をはじめ、滞在経験
を活かしてスペインをテーマにした作品を発表。99年、時代小説に転向。「密命」シリーズを
皮切りに次々と作品を発表して高い評価を受け、<文庫書き下ろし時代小説>という新たな
ジャンルを確立する。おもな著書に、「居眠り磐音江戸双紙」「密命」「吉原裏同心」
「鎌倉河岸捕物控」「交代寄合伊那衆異聞」「古着屋総兵衛影始末」「新・古着屋総兵衛」
各シリーズなど多数。引用:文庫カバーより

◆まとめ

『騒乱前夜』は、小籐次が新たな陰謀に巻き込まれながらも、その人間味と剣術で困難に立ち向かう姿を描いた作品です。

江戸の風情や人情を感じながら、小籐次とともに事件の解決を追体験できる一冊となっています。